まずはいつもの通り結論から書きます.
組織内の電子メールに添付する書類の「認印」欄は頼むから止めてほしい
です.正直,業務の妨げにしかならない!です.まずはこの辺りからツラツラと書いていきたいと思います.
どう妨げなのか?
まず,誤解して欲しくないんですが,「印」を全て否定しているわけじゃありません.慣習としてまだ必要な場面が多いですし,そもそも「印」が効率的なときもあります.
例えば,窓口の手続きだと「印」を押させるってのはまぁ分かる.
窓口でササッと書いて渡す書類って結構あります.この類のことって,その場限りで終わるんで「印」を押すという儀式により,捺印者の記憶に残ることが期待できますし,あと,窓口の人にとっては確かに本人からもらった書類だと(ハンコなんて100円ショップで買えるんで気休めにしかならないですけど)いうことを主張する手段にもなるからです.
こういう場合って,窓口に普通は書類が用意してある.だから,時間が掛からない.言い換えると効率的です.しかし,電子メールに添付するような書類はそうじゃない.必要な作業は,
- 電子メールから書類をダウンロードする
- 書類を書く
- 印刷する
- 印を押す
- 窓口に持っていくかスキャナで取り込んで添付ファイルにして送る
です.たかが「認印・確認印」のせいで,工程が2段階は増える.おまけに,印刷するための設備と,場合によっては取り込むための設備がいるんです.おかげで,その場ですぐに処理できず,5分で書いた書類の提出に下手をすると1時間以上の時間がかかることになる!
はっきり言って業務妨害です!
きちんと確認したかどうか,認めたかどうかのために……
いや,そんなのメールで返信してきてる時点で確認取れてます.電子メールの返信者が他人の心配をするなんて,アカウント,乗っ取られたんですか?って話で,それを心配する方がオカシイと思いますが……と言いたいんですが,まぁ,大人気ないので直接言わずに blog に書くだけにしてるんですけどね.
ささやかな抵抗をしてみることにした
ということで,ささやかな抵抗を試みてみることにしました.
ええい.電子で「印」を押して返送してしまえ!
ですよ.
最初は自分で適当にでっち上げようかと思ったんですが,そんなことしなくてもよかった.一番有名なのは,
辺りみたいです.ナルホド.フォントを作ってるメーカーさんなんですね.オマケにシャチハタにフォントを提供してるそうで,有料かなと思ったんですが,個人使用だと企業内の使用もOKと太っ腹です.
作り方は,
から作ってダウンロードするだけ.ただし,PDF形式のものはポップアップウインドウからダウンロードになることに注意が必要です.
アクロバットのカスタムスタンプとして使えるそうで,おう,いつも使ってる認印と同じような見た目の字形ですねぇ…….
実際に使ってみた
実際に使ってみました.まずは,WORD の場合ですが.
- ドラッグアンドドロップ
- 印鑑の画像を右クリック
- 配置とサイズ
- 文字列の折り返し
- 背面(折り返しの種類と配置)
- 印のところまで画像を移動
が良さそうです.「背面」にすると,「印」の文字が透けた感じになるのが良い感じです.
次に本命の Acrobat の場合ですが,Pro か Standard が要るのかと思ったら,
Acrobat Reader で出来るんですね.知りませんでした.
ただし,陰影の画像は PDF 形式じゃないとダメみたいです.やり方は,
- 上部メニュの「ツール」を選択
- メニューから「スタンプ」を選択
- 上部メニューの「カスタムスタンプ」から「作成」を選択
- 分類:認印,名前:自分の名前を入力
- 上部メニューの「スタンプ」から「認印」を選択
- 電子印鑑に表示されるユーザー情報を適当に記入
- 画像を適当な場所に移動
ですね.よく出来てます.「電子印鑑に表示されるユーザー情報」にきちんと情報を入力すれば100円で買える印鑑よりよほどこちらの方が信用できると思います.画面イメージつきで見てみたい方は,
あたりを見れば良いと思います.
なお,どちらの場合も当然なんですが,電子印ってすぐに分かります.
だって,陰影がキレイすぎますからね.
しかし,知りませんでした.スタンプは Acrobat Reader で OK だなんて.知ってたらもっと早くから使ってたと思います.
もっと本格的な印鑑ソリューションってないの?
あまりないんですよねぇ…….個人で使えるようなものだと.もちろんワークフローに組み込むようなものはいくらでも見つかるんですけどね.
少し驚いたのは,シャチハタさんです.
個人利用できる Microsoft Office と組み合わせて使えるソフトウェアをフリーで提供してくれています.企業で使用する場合も,1企業1パッケージで良く,おまけに6万円弱で良いそうで,どこで儲けるのかと思ったんですが,どうも,このソフトで使う陰影は有料みたい.けどあんまり高くはないです.
なるほど.色々あります.同じ字形の実物の印鑑とセットになってるものや,驚いたことに,印鑑専用のタブレットとデバイスまであります.実際に「押す」ことができるようになってるんですね.もちろん陰影にはシリアルか何かが埋め込んであって,不正利用できないような環境も構築できる……と.
まぁ,個人で使うもんじゃないとは思いますが,面白いとは思います.
これ,少し意外でした.認証自体は技術的には公開鍵暗号を使えばなんとかなります.あと今だとブロックチェーンという技術があるので,これを印鑑と結びつけるっていうのはとうの昔に誰かがやってるんだろうと思ったんですがどうもなさそう.と言うか,検索するとブロックチェーンと印鑑は対立概念のような……確かにブロックチェーンで実現できることから考えれば印鑑の置き換えは可能だとは思いますが,見た目が印鑑で,裏ではブロックチェーンってのがあっても良さそうな気がするんですが……
まぁ,素人考えなんでしょうね.
以上!