elementary OS 5.0 juno 雑感です.
まずはいつもの通り結論から言うと,
軽くてホントにシンプルです.ただし,さすがに Windows や MacOS の代わりにはなりません.でも,Web 系の開発をやる人(デザイン除く)とか学術系だとこっちの方が使いやすいんじゃないかなと思います.
なお,実際に elementary OS 5.0 juno を Macbook air 11 で使えるようにする方法については以下の記事をご覧ください.
軽いです.
elementary OS を使い始めて一番感じたことが,すごく
軽い
ことです.
使っているのは MacBook Air (11-inch, Mid 2013) で,すでに6年前の機種,さらにモバイル用途の 11-inch のモデルなので,
- Core i5 1.3GHz Dual Core CPU
- 4GB Memory
- 1,366 x 768 pixel の画面
と今となってはかなり見劣りするスペックなのですが,どのアプリも軽快に起動しますし,使えます.
もちろん,ベンチマークなんかはハードウェアの絶対的な性能を見るものですからもちろん大したことありません.しかし,体感は,つい最近仕事用のメインマシンとなったほぼ上限スペックの DELL XPS 9380
とあまり変わらないんです.MacOS は見せ方が上手く,低スペックでも遅く感じない OS ですが,それでもこの elementary OS を使うと,ああ,遅かったんだなぁ……と感じます.
シンプルです.
elementary OS ってシンプルです.どういうことかと言うと,OS 標準だと,あまりカスタマイズ(設定)の余地がありません.
例えば OS 付属のターミナルを見るとそれが分かります.
タブに対応してて,検索ボタンがついていて,カスタマイズのための歯車ボタンがありますが,歯車ボタンを押して変えられるのは,
- フォントの大きさ
- 色合い3種類(黒背景,クリーム色背景,白背景)
だけ.最初見たとき「こんな少ないの」と思いました.でも,使い始めると,これで十分なんです.私の場合,昼間はクリーム色の,夜は黒の背景にするぐらい.
これは,デザインが十分に練られており,見た目よく作ってあるからだと思います.フリーの OS の場合,これまで,欧文だけならともかく,日本語を組み合わせるとバランスが悪く感じることが多かったのですが,少なくとも私の場合は,標準のままで十分に満足できます.正直,
elementary OS を使い始めると,MacOS のデザインが全くシンプルに思えなくなりました.
逆に言えば,カスタマイズが出来なさすぎなのですが,多くの人はこれで十分なんじゃないのかなとも思います.
開発に向いていると思います.
elementary OS って開発に向いてます.だって,これ,本質的には,
Ubuntu
だからです.Ubuntu にシンプルなシェルを載っけたのが elementary OS だと思えば良いと思います.
Ubuntu は Linux ですから,大方の開発言語はコマンド一発で入ります.また,OS の環境汚されたくなければ,docker コンテナで導入すれば良いだけです.本家本元ですからこれがとても楽なわけです.
もちろん Windows も MacOS も同じことやろうと思えばできますが,Windows だと WSL 経由で使う,MacOS だと brew を入れる等,やはり一手間掛かりますし,実際に使うとなると,それなりに面倒な環境設定を行わないといけないことが多いです.
また,Ubuntu って最も人気の高い Linux ディストリビューションなおかげで,chrome とか vscode とか Atom とかの大物アプリもキチンと対応してますし,簡単に導入できます.要は対応する PPA(Personal Package Archive)を追加すれば良いだけ.あとはコマンド一発でインストールからアップデートまで行われます.
開発環境って,結構準備するのが大変なことが多いし,実際自分でやるには色々読まないといけないものが出てきて大変,おまけにどんどん変わっていくのでせっかく作ってもまたやり直ししないといけないことがあってとても面倒です.でも,elementary OS だとこの辺りがかなり緩和されるってのがとても良い訳ですね.
でも,事務仕事とかデザイン系には向きません.あとゲームもダメ.
と,こんな感じで,elementary OS,ある意味とても良い使い物になる OS なんですが,もちろん向かないものもあります.と言うか,Linux 系の OS に向かないことはもちろん elementary OS にも向きません.
まず,事務仕事はこれで出来ません.だって,
Microsoft Office が使えない!
ですから.もちろん WEB のものは使えますけど,実際使い物になるかと言うと,訂正程度の軽いものならともかく VB の機能使うとかしだすとやっぱり使えません.
また,デザイン系もダメです.だって,
Adobe のソフトが使えない!
ですからね.あと,調べてみると,
AutoCAD も Linux 版は無い
みたい.こういう使えないと仕事にならない系アプリってのはメーカーが作ってくれないとどうしようも無い.
だからもちろんゲームも基本的にはダメだと思うんですが,驚いたことに,
STEAM は対応してる
っぽいです.
ただし,人気のあるゲームはやっぱり Windows にしか対応しかしてなさそう.ゲームやりたけりゃゲーミングPC(Winodws)を買うべきなんでしょうね.
その他の特徴は?
と言うことで,elementary OS の良いところ,悪いところを大まかに並べましたが,これ以外の特徴として気がついた部分3つを以下に記しておきます.
まず,elementary OS,最近の OS としては珍しいと思うんですが,何と!
デスクトップが無い!
です.もちろんデスクトップは表示されますが,これは背景画像が表示されるだけの場所です.つまり,ファイルをデスクトップに置けません.なお,ドキュメントとかミュージックとかのフォルダはありますし,ゴミ箱もあります.
これ,最初はどうかなと思ったんですが,個人的には「あり」だと思います.なぜかと言うと,当たり前ですが,デスクトップが散らかることがあり得ないからです.
デスクトップがあると,何でもそこでやります.だから散らかるんですが,やり終わったら,適当なフォルダに移動させます.で,また,必要になったらデスクトップに出して来るんですが,よくよく考えるとこれかなり面倒です.はじめから適当な場所に置いて作業すれば良い.特に最近はクラウドにファイルを置くことが多くなりましたので,デスクトップって使わなくなってきましたしね.
そしてもう2つめの特徴ですが,P-in-P 機能が実装されていることです.
P-in-P ってディスプレイの機能で,2台繋いだ PC の画面のうち一方を小窓に表示する機能だよなって思うと思いますが,elementary OS の場合は,そうではありません.
elementary OS も MacOS,Windows と同じように複数のデスクトップを切り替えながら使えます.elementary OS の P-in-P というのは,別のデスクトップの任意の区域(複数にも対応)をリアルタイムに現在使っているデスクトップ画面に任意の大きさで表示できるって機能で,実際の様子は以下の様な感じ.
編集中の blog 画面に,youtube と Amazon Prime Music の Web 画面を表示させてみました.
この P-in-P 画面,大きさを自在に変えられますし,位置も好きなところに配置(移動)できます.また,画面の指定も Command + F を押して,表示させたいところをマウスで選択するだけです.これだけでキチンとリアルタイムに画面表示が行われます.
この機能,Youtube なんかのながら見にとても便利で手放せません.特に MacBook Air 11 の場合は画面解像度が低く狭いので,便利に感じるんだと思います.同様の機能,恐らく MacOS も Windows も適当なアプリで実現できるだろうと思っているんですが……まだ見つけられていません.
3つ目は,Bluetooth での音楽再生です.ただしこれは elementary OS ってより,最近の Linux の話です.
elementary OSの場合,以下の記事でも触れましたが,簡単に Bluetooth の LDAC, APT-X HD, APT-X, AAC, SBC に対応させることができます.
意外なことに,Windows の場合は APT-X HD/APT-X/SBC,MacOS の場合は AAC/SBC に対応しているだけで,自分の持っているイヤフォンだと SBC しか使えないっていうこと良くあります.特に Sony の LDAC には両方とも対応していません.elementary OS だと,高音質なコーデックで使えるってのはやっぱり地味に嬉しい.逆に言うと,なんで少なくとも SONY さんは MacOS と Windows で LDAC 使えるようにしてくれないのかなぁ……って思います.
おわりに
この blog の記事,実は elementary OS から書いていますし,最近の blog 記事もかなりの部分 elementary OS から書くようになりました.
これ,MacBook Air 11 が小さい割にキーボード等含め使いやすいこと,そして,elementary OS が軽快に,かつシンプルにつかえるのが理由だと思います.また,p-in-p 機能と,Bluetooth の接続性のお陰で,ながら見,ながら聴きしながら作業し易いってのもあります.
少し前まで,Linux ってサーバー用途だと使えるけど,デスクトップ用途だと実用にはならないなぁ……って思ってましたが,elementary OS,立派にデスクトップ用途に使えます.
私のように少し前の機種で,今使うのには少し動作が緩慢で使いにくい,でも処分するには勿体無いって端末がある場合はお試しに一度入れてみては如何でしょうか.
以上!