Sony WALKMAN NW-A45 USB-DAC 機能の雑感と備忘録です.
DAC として使うと液晶に入力フォーマットの形式をきちんと表示してくれて,もちろん普通に WALKMAN としても使えて,音もそれなりに良い.なのにいまだと中古で1万円でおつりが来るので悪い選択じゃない
と思います.
購入理由
購入理由は,
何でも良いから入力フォーマットがきちんと分かる DAC が欲しかった
からです.
趣味で USB to Bluetooth トランスミッター
作ったりしてるせいでしょうか.最終的に音がどういう形式で出力されているのか確認したくなることがたまにあるのですが,これ,確かめるの実際には結構大変です.
Linux なら適当にググればコマンド発行して確かめる方法が(比較的容易に)見つかります.しかし,その他の OS (Windows と MacOS と Android と iOS ですね)の場合はどうやってこれ調べるのかググっても(少なくとも私には)よく分かりませんし,ゲームコンソールなんかだと調べてもそんな情報出て来ません.しかし,USB-DAC が使える場合は,USB-DAC 側に入力フォーマットを表示する機能さえあればこれを簡単に確かめることができます.
と言うことで,前からこの機能のある USB-DAC あると良いなぁと思っていました.しかし,数千円程度のものは機能があるのか無いのかカタログ見てもよく分からない.どうしようかなぁ……とウダウダ考えていたのですが,思い起こしてみると,以前購入してすぐに手放した Walkman NW-A55 だと USB-DAC としても使えて,液晶表示もあります.
また,改めて調べてみると USB-DAC 利用時に入力フォーマットも表示くれるっぽい.とは言え,NW-A55 を改めて買うにしても少しお高い(中古でも1万円以上する)ので,旧機種の NW-A45 だとどうかなと思って調べてみると,やはり同様に表示してくれて,おまけに十分予算内(数千円)で手に入る.ならば……と購入に踏み切った訳です.
NW-A45 の USB-DAC としての仕様
と言うことで,届いた NW-A45が USB-DAC としてどのような仕様なのかを色々調べてみた結果は以下の通りです.
まず,入力可能なフォーマットは PCM だと,
- PCM 2ch 16bit, 24bit, 32bit 44.1kHz (CD音質)
- PCM 2ch 16bit, 24bit, 32bit 48.0kHz
- PCM 2ch 16bit, 24bit, 32bit 88.2kHz
- PCM 2ch 16bit, 24bit, 32bit 96.0kHz
- PCM 2ch 16bit, 24bit, 32bit 176.4kHz
- PCM 2ch 16bit, 24bit, 32bit 196.0kHz
のようです.ただし,液晶にはサンプリング周波数とchは表示されますが,ビット深度は表示されないことに注意が必要です.
DSD の場合は,DoP か DSD Direct かで対応が違うようで,DoP だと,基本的に,
- DSD64 (DSD 2.8MHz)
だけに対応するようですが,DSD Direct だと,
- DSD64 (DSD 2.8MHz)
- DSD128 (DSD 5.6MHz)
に対応しているようです.液晶にDSD64かDSD128のどちらかなのかはきちんと表示されますが,DSD を直接再生する訳ではないこと(WALKMAN の中でPCMに変換してから再生しているみたい.上位機種の ZX300 だと直接再生できるっぽい)と,液晶の表示では DoP での再生か DSD Direct の再生かの区別は付かないことに注意が要ります.
DAC として使うのではなく,普通に音源のファイルを WALKMAN に入れて再生する場合は DSD256 のものも再生しますが,FLAC の 384kHz のものはダメです.
をみると,DSD128 を無劣化で再生するには384kHz対応DACが必要だそうなので,DSD128とDSD256のファイル(と入力)は PCM 192kHz にダウンコンバートされて再生されているのではないかと思います.
なお,OS ごとの制限ですが,DSD 音源の再生を DSD Direct で使えるのは基本的には Windows だけと思った方が良さそうです.と言うか,MacOS と Linux は DoP でしか基本的には使えないと思った方が良くて,Android と iOS についてはよく分からない.そして,Linux の場合は手間をかければ何とかなります.
Linux で何とかする方法については後日別記事で紹介しようと思いますが,手間をかけるほどの意味は多分ないです.もちろん DSD の直接再生ができる ZX300 なら別ですけどね.あと,MacOS は Sony がドライバーか何かを提供してくれないとどうにもならないんじゃないのかなと思います.
Linux で DSD Direct に対応させる方法については以下の記事をご覧ください.
両立可能な機能
次に両立可能な機能ですが,残念ながら USB-DAC 機能と Bluetooth 接続機能は良質しません(これが前回 NW-A55 を手放した理由だった).つまり,本機を USB to Bluetooth トランスミッターとしては使えない.
しかし,その他の機能は大丈夫っぽい.本機の場合,音質設定として,
- ClearAudio+
- イコライザー
- DSEE HX
- DCフェーズリニアライザー
- VPTサラウンド
- ダイナミックノーマライザー
が搭載されていますが,これらは普通に WALKMAN として使うのと同じように使えますし,専用イヤフォン(ヘッドフォン)と組み合わせることで使える
- ノイズキャンセリング
- 外音取り込み
も大丈夫です.
これらの機能の効果,きちんと感じることができますし,PCにつなげて使う場合は基本的には(非可逆)圧縮音源のものを聴いていることが多いので,これをアップコンバートしてくれる DSEE HX が使えるのは大きいんじゃ無いかなと思います.
ネットだと,WALKMAN の USB-DAC 機能はあくまでちょっとしたオマケ程度の機能であまり有用とは言えない……と書いている人もおられますが,個人的にはそんなことないと思っています.少なくともきちんと WALKMAN の音はしますし,いままで聞いていた音のベールを1枚剥がす程度の音質向上効果は得られますからね.数千円の投資でこれなら十分元は取れていると思います.
専用イヤフォンについて
今回はたまたま専用のイヤフォン(IER-NW500N/NE)が付属するものを手に入れましたので,これについても少し書いておきたいと思います.
WALKMAN(と Xperia の一部機種)の場合,専用イヤフォンを使うとノイズキャンセリングと外音取り込み機能を利用することができます.と言うか,使わないと利用できません.しかし,このイヤフォン,買うと結構なお値段です.
実際,NW-A30, 40, 50 シリーズに付属するものでも新しく買うと 7,000円以上しますし,最新の NW-A100 シリーズに付属するものだともう少し高いです.結構なお値段するだけあって,きちんとハイレゾに対応していますし,実際聞くと音も良いです.
また,ノイズキャンセリング性能もかなり高い.
実際にノイズキャンセリング機能を有効にすると,WF-1000XM4 には及ばないまでもかなり周囲の音を消してくれます.ag の WHP01K などとは比べ物になりません.同様に外音取り込みもかなり優秀で,これについては個人的には WF-1000XM4 よりも自然に感じました.
と言うことで,プラスアルファ程度の費用の追加で済むのなら,専用イヤフォンが付属するものを選んでも後悔はしないのではないかなと思います.
なお,このイヤフォン,専用品で,他メーカーのもので置き換えはできません.また,Walkman と対応の Xperia 以外の機器で使えると思わない方が良いです.
このイヤフォンのピンジャック,5極という他ではまず見ないタイプなせいか,試しにいろいろな機器に挿してみて確かめると,結構使えないものがある.使えるものも少しピンの挿さり方が悪い(甘い?)と途端に片方しか聞こえなくなったり,全く鳴らなくなったりします.
まとめ
Sony NW-A45 をいまさら手に入れて使ってみた訳ですが,いまでも十分に使える……と言うか,今だとまだそれなりの状態のものを中古でかなり安価に手に入れられるので試してみても損はないんじゃ無いかなと思います.
もちろん不満はアチコチにあります.例えば,なんで USB-DAC 機能と Bluetooth が両立しないんだろうとか,なんで Walkman 専用端子なんだろうとは思いますよ.逆に言えば,Bluetooth と両立できて,USB-C 接続できるなら数万円出して新しく買っても良いと思わせるだけの価値があります.
NW-A55 の後継として Android を搭載した NW-A100 が現在のラインナップですが,この方向,つまり USB-DAC として使えて USB-C で接続できて,Bluetooth と両立できるってモデルがあっても良いんじゃ無いかなと思います.そう言えば中華だとこの要件満たす製品ありましたねぇ……
ナルホドなぁ…….