Brother MFC-9340CDW 雑感とプリンタ考(3)の続き.
- Brother MFC-9340CDW 雑感とプリンタ考 (1) 購入の動機
- Brother MFC-9340CDW 雑感とプリンタ考 (2) 設置
- Brother MFC-9340CDW 雑感とプリンタ考 (3) 印刷機能
- Brother MFC-9340CDW 雑感とプリンタ考 (4) スキャナ機能
- Brother MFC-9340CDW 雑感とプリンタ考 (5) FAX機能
- Brother MFC-9340CDW 雑感とプリンタ考 (6) まとめ
今回はスキャナ機能についてです.これもまた試し切れないほど多機能なのですが,本機のプリンタ複合機としての他にはない特徴は,両面同時スキャン機能なのではないかと思います.当然,ScanSnap 等の専用ドキュメントスキャナの置き換えを期待したのですが,
専用ドキュメントスキャナの完全な置き換えは無理!
でした.特に自炊用途には向かないと思います.
基本機能
自炊用途に向かないと思う最大の理由は速度です.やはり遅い.仕様では片面だと1枚3秒で,1分に20枚なので,専用ドキュメントスキャナと大差無い(ScanSnap の最新モデルで25枚/分)ように見えます.でも,両面同時読込だと1枚8.5秒かかるんです.
専用ドキュメントスキャナの場合,片面と両面で読み取り速度はほぼ変わりませんが,本機はガクッと落ち,8枚/分程度しか読めません.表裏別々に読んだ方が正直速い.自炊の場合は両面がメインですので,専用機の代わりにはならない.
また,専用機には重送検知の仕組みがありますが,本機にはありません.とは言え,通常のA4普通紙で読む限りは重送したことは無いので,それほど心配はいらないのではないかと思いますが,あると安心な機能であることは確かです.
しかし,PDFへの対応は本機の方が優れています.PDF形式にするだけならPCは不要です.本体側で
- PDF/A
- セキュリティPDF(パスワード付PDF)
- 電子署名付きPDF
- JPEG
- XPS
に変換できます.また,地肌補正とカラー自動判別も本体側で出来ます.さすがに白紙除去と本格的なOCRはPCにソフトのインストールが必要ですが,クラウド連携機能を使えば検索可能なPDFをPCレスで作れてしまいます.
解像度は,仕様的には 100 dpi から 19200 dpi までいけるようなのですが,
- 本体で設定可能: 100dpi, 200dpi, 300dpi, 600dpi(グレイスケールだと 300dpi まで)
- Windows, Mac の通常のソフトウェア: 上記 + 400dpi, 1200dpi (用途による)
- Scanner Utility: 600dpi, 1200dpi, 2400dpi, 4800dpi, 9600dpi, 19200dpi
のように,どの手段でスキャンするかで選べる解像度が大きく変わります.なお,ドライバは
- TWAIN: Windows, MacOS
- WIA: Windows
- ICA: MacOS
に対応したものが用意されているようです.
USBへの対応
スキャンtoUSBという名前で紹介されていますが,本体前面のUSBに vfat 形式でフォーマットされたUSBを刺すと,USBファイル内のファイルを印刷するのかそれともスキャンファイルを保存するのかの選択画面が本体液晶に表示されます.
初期状態だと,決まった形式でしかスキャンできませんが,設定を変更すれば取込む度に本体の液晶画面でスキャン形式を選択することができ,スキャンファイルはUSBメモリの BROTHER フォルダに保存されます.
USBメモリを刺せば,順に保存形式を選べるというこの形式は,とても分かり易く,結構重宝している機能です.
ネットワークへの対応
ネットワークへの対応は主に以下の4種類です.
- PCの方から取込操作を行う.
- PCに対応ソフトを立ち上げておいて,複合機側から取込操作を行う.
- FTP サーバーに複合機から直接送付する.
- CIFS ファイルサーバー(Windowsの共有フォルダ)に複合機から直接送付する.
興味深いのは3と4でしょうか.合わせて10個の送付先を作成できます.
さすがに FTP サーバーを単体で運用しているところは減ってきているとは思いますが,passive モードに対応していますので,Web 連携等を意識しているのだと思います.もちろん転送先フォルダの設定等も可能です.CIFS ファイルサーバーへの対応も企業ユースを意識したものです.ドメイン環境に対応するため,認証は NTLMv2 と Kerberos を自動判別するよう設定できます.
個人だと使わない機能ですが,企業向けとしては対応が絶対に必要な機能でしょう.
クラウドへの対応
最近のものらしく,クラウド対応です.しかも,きちんと新機能の追加が行われていきます.これは,
との組み合わせで実現されています.対応しているサービスは以下の通りです.なお,Business 向けサービスへの対応も行われています.
- OneNote
- 簡単Eメール送信
- OneDrive
- DropBOx
- Google Drive
- EVERNOTE
- box
- flickr
簡単Eメール送信を除き,Brother Web Connect ページでIDの登録を行わねばなりませんが,無料で使えるのは大変ありがたい.簡単E-メール送信は登録しなくても使えますし,送付先も複数登録できます.また,送付形式として,
- サーチャブルPDF (OCR済みPDF)
- JPEG
- Word(*.docx)
- Excel(*.xlsx)
- PowerPoint(*.pptx)
を選べます.PCにソフトを入れなくても,複合機で操作するだけで変換されたものがメールとして届くというのはとても便利です.
しかし,「簡単E-メール送信」機能,製品紹介ページには記述があるのに,マニュアルのどこを見ても使い方が書いてありません.結局は,本体液晶画面から,クラウドを選び,画面の誘導に従えば使えるのですが,とても分かり難いのが欠点です.
携帯端末への対応
携帯端末向けアプリも iOS と Android 向けに用意されています.ただし,あまりアプリを使うメリットは無いと思います.設定できる項目が非常に少ないからです.正直,「簡単Eメール送信」を使う方がはるかに色々設定できるので,入れてはいますが,ほとんど使うことはありません.
しかし,逆に言えばアプリの作りは非常にシンプルであり,分かり易いのはメリットなのかも知れません.
まとめ
と言うことで,やっぱり本機,ある意味コストパフォーマンスが良すぎます.スキャン機能については専用ドキュメントスキャナの完全な置き換えにはならない点だけが惜しい.なお,自炊目的でなければこれで十分ですし,フラッドヘッドスキャナとしても使え,さらに値段は同じくらいなのですから文句は言えません.
さて,まだまだ本機の紹介は終わりません.まだ FAX 機能が残っています.次回はこの辺についてまとめてみようと思います.
PS. モノクロ複合機ですが新機種の MFC-L5755DW だと両面スキャン速度が改善されていますねぇ.この位の速度があれば専用ドキュメントスキャナの完全な置き換えができるのではないでしょうか.しかし,かなり大きいようなので,なかなか自宅に導入とはいかないとも思います.
2016/8/14追記:後で気がついたのですが,本機のスキャナ機能は両面読み取りの速度を除きドキュメントスキャナー専用機のADS-1500Wとほぼ同じ様ですね.