XikeStor SKS3200-8E1X 2.5G スイッチ雑感です.
まずは結論から記すと,
Netgear の言うアンマネージドプラスなスイッチです.安価で低消費電力でとても良いのですが,VLAN にはちょっと注意が必要
ですね.
製品概要
2.5Gbit ethernet が8ポートと10Gbit SFP+ 対応のポートが1ポートのスイッチです.ブランドは XikeStor で,商品の概要は以下の通り.
- 型番:SKS3200-8E1X
- 消費電力:12V1A (12W)
- ポート:2.5Gbit/s x 9, 10Gbit/s x 1
- QoS, VLAN, IGMP, LCACP, STP, MAC Constraint Backup, Jumbo Frame 対応
- 15.5cm x 9.5cm x 3cm
- 350g
メーカーは,Anhui Seeker Electronic Technology Co., LTD というところだそうですが,いつもの通り中華なメーカーですね.ブランドのページは,
で,いまのところは取り扱いはスイッチのみです.ただし,製品ページは結構しっかりしていて,本製品のページも
ときちんとあります.また,中華なメーカーですが,きちんとファームウェアもわかりやすい仕方で提供されているのは良いところだと思います.
購入動機
少し前の記事
にも書きましたが,購入の主な動機は,身の回りに 2.5Gbit 対応製品が増えてきたので,そろそろ有線 LAN の環境をアップグレードしようかなと思ったことです.あと,やっぱり安かったんですよね.
私が購入したのは Amazon ブラックフライデーセールの時でしたが,そのときで約9,000円でした.いまだと12,000円くらいです.1Gigabit 対応のものより若干高いかなという程度です.
開封の儀
ではまず製品パッケージから紹介します.パッケージは以下の通りキレイめかつシンプルな紙箱です.
開けると一番上に製品マニュアルとしっかりした緩衝材に包まれた状態で製品本体と付属品が収められていました.箱の大きさは製品の大きさに比べるとかなり大きい.
付属品は,本体,製品マニュアル,保証期間について記された小さな紙片,ACアダプタ,ゴム足4ことネジ1つでした.ゴム足は自分で貼り付けて使用する形です.
製品マニュアルには,以下の通り,きちんと日本語で節召されているところがありますし,保証についての記述もあります.保証期間は1年らしい.
製品本体の様子は以下の通り.外観はシンプルでまぁまぁ高級感があってすごく良いです.金属製っぽいですが,磁石はくっつかないので多分アルミか何かだと思います.底面には磁石の足などを取り付けるための穴が空いています.また,Web コンソールにログインするための情報も記されていました.
付属のACアダプタは 12V1A (12W) です.製品マニュアルには本体の消費電力 12V2A とあるのですが,ホームページは 12V1A なので多分マニュアルのほうが間違っているんでしょうね.
利用雑感
製品へのアクセス方法
本製品,半 L2 スイッチです.Netgear とかが言うところの,アンマネージドプラススイッチ製品なので Web インターフェースで設定をいろいろ変更できます.
この Web インターフェースには初期状態だと,
- IP Address: 192.168.211.1
- ID: admin
- PASSWORD: admin
でアクセスできます.Web インターフェースのイメージは以下のようにシンプルな見た目です.
このアドレスは設定で変更できますが,対応は IPv4 のみです(本製品自体はもちろん IPv6 のスイッチングにも対応しています).他のメーカーでも Web インターフェースのアドレスに IPv6 のアドレスを設定できるもの見たことがないので,こういうものなんでしょう.もちろん固定にも DHCP での自動配布にも対応しています.
それと赤く「八丁」って感じのメーカー?ブランド?ロゴがあるのが特徴といえば特徴でしょうか.言語は現状 (ver. 2.0.9) は英語のみの対応みたいです.なお,届いたときの Firmware は ver. 2.0.7 でした.
できること
本製品,半 L2 スイッチで,何ができるのかは製品ページ等を見ても完全には分からないと思うので,現状 (ver. 2.0.9) で何ができるのかを Web 管理インターフェースに並んでいる順に列挙しておきます.
- HOME
- Device Name の表示と変更
- Device Model/IP Address/Netmask/Mac Address/Uptime/Firmware Version/Port Status の表示
- Switch Monitor
- MAC Address Table: スイッチの MAC Address Table の表示(ポート番号と VLAN ID の対応も表示)
- Port Statistics: Link up/dawn と通信量の表示
- Switch Configuration
- Port Setting: State/Duplex Mode/Negotiation Speed/Flow Control の切り替え
- Port Mirror: Mirror Group/Source mirror port/Mirror Direction (Both/Tx/Rx)/Destination Port の定義
- Port Isolation: ポート分割の定義
- Port Rate Limit: port の Ingress/Egress 方向ごとの帯域制限
- Port Aggregate: リンクアグリゲーション設定 (static/LACP)
- Static Mac: VLAN, port ごとの Mac Address の偽装設定
- VLAN Configuration
- VLAN Setting: VLAN の有効化と VLAN ID の設定
- Port VLAN: ポートごとの VLAN の設定(詳しくは後述)
- Loop Configuration
- Loop Protocol: loopfunction (off/loop detection/spannning tree) の切り替え
- STP Global: STP/RSTP の切り替えと切り替え時間等の設定
- STP Port: ポートごとの STP の定義
- QoS Configuration
- Port to Queue: ポート優先度の設定
- Queue Weight: Queue の weight の設定
- Advanced
- DHCP Snooping: on/off, port の選択
- Storm Control: Storm の閾値の設定
- IGMP Setting: on/off とポートごとの設定
- Jambo Frame: on/off (1522/1536/1552/9216/16383bite)
- System Manage
- IP Setting: IP address, Netmask, Gateway, DHCP の設定
- User Management: ID と PASSWORD の変更
- Device Reboot
- Save Configuration
- Backup Configuration
- Firmware Upgrade
- Factory Default
Syslog 対応はしてないです.
それから一見ポート VLAN にしか対応していなさそうな感じがしますが,実はそうではなく,実は Native VLAN に対応しているので,タグ付きの通信も処理できます.ただし,tag の付いた通信のみの受け入れは不可です.タグなしの通信をどの VLAN の通信とみなすのか必ず定義しないといけません(本製品はこれを Native VLAN と記していますが,HP とか Netgear だとPVID ですね).
なので,例えば NEC の IX のような PVID の設定ができない機器と接続する場合に困る……ように見えるんですが,実はこれには回避策がありますので,これについては以下の記事をごらんください.
よいところ
と言うことで,以上の通り,フル昨日の L2 スイッチではないですが,結構いろいろ対応してくれています.バックプレーンの速度は 60Gbit/s だそうで,全ポートフルスピードで通信ができるだけの性能があります.
あと驚いたことは,これだけの性能,かつコンパクトなのにかなり消費電力が低いことです.
実際,最初設定するときは,USB 5V を 12V に昇圧するケーブルを使って容量 5000mAh のモバイルバッテリー(最大1.5Aまで対応)でしばらく動かしましたが,全く問題なく起動しましたし,この状態で3ポートに機器をつなぎ3時間程度継続使用しましたが全く問題なく動作しました(LED で色が変わるタイプの残量表示しかできないバッテリーなので,正確な残量は分かりませんが,1/3くらいはバッテリーが残っていた).
発熱もかなり抑えられており,現在半分程度のポートが埋まっていますが,ほんのりあったかいくらいです.
わるいところ
このように価格の割には非常に高性能な製品ではあるのですが,悪いところ,というか唯一の欠点があります.それは,
リセット方法が不明
なことです.
この類の製品,設定が済むとあとはずっと同じ設定で動かし続けることが多いです.だからいざ設定を変更しようとした場合に,アドレスや ID やパスワードなどが分からなくなってしまっていることがあります.で,こう言う場合は,仕方がないので,リセットしてはじめから設定をやり直すのですが,残念ながら本製品,どうやったらリセットできるのかが不明です.マニュアルにもホームページにも記述がない.
ただし,本製品,以下の写真の本体のスリットの右側ところをよく見てみると,中にボタンが見えるので,多分これがリセットボタンなんじゃないかなと思います.
ただし,それを確かめるには蓋を開ける必要があります.しかし,蓋を開けるには封印シールを破らないとダメ.つまり,保証を切る覚悟がないとリセットボタンのあるなしを確かめることができません.
と言うことで,ネットワーク機器としては「なぜ?」と思う大きな欠点がある本製品ですが,価格が価格ですしね.この欠点が許容できるのなら非常に良い製品だと思います.
ただし,私が買った時の価格だと,10Gbps の SFP+ が8000円くらい……SFP+ のお値段とスイッチ本体のお値段が同じくらい……もうちょっと SFP+ 安くならないかなぁ……ということで,本製品の 10Gbps 試すのはもう少し将来になりそうな感じです.対応機器も他に持ってないですしね.
以上!