NEC Aterm W500P 雑感,いわゆるホテルルーターと呼ばれる機器ですね.
Amazon の商品ページは以下の通り.
はじめに…
まず,結論から.本製品,ホテルルータとして,
必要にして十分!
でも,
家庭用の据え置き型のルーターの代わりにはならない
と考えるべきです.と言うのも,最近の家庭用据え置き型ルーター等と比較すると,かなり機能が絞り込まれているだけでなく,家庭用据え置き機器では必須の PPPoE クライアント機能が搭載されていないからです.でも,ホテルルーターとしてはよく考えられた製品であることは間違いありません.と言うことで,良いと思う点から紹介したいと思います.
良いところ
まず,本製品,使い始めるときは側面のスイッチで,
- 通常の家庭用ルータと同様にホテル等が用意しているLANの口と本製品のLANの口をイーサネットケーブルでつなぎ,Wifi アクセスポイントとして本製品を使う.
- 本製品とPCをイーサネットケーブルでつなぎ,ホテル等が提供する Wifi アクセスポイントにつなぐ.要はイーサネットコンバーターとして本製品を用いる.
- 本製品をホテル等が提供する Wifi アクセスポイントに接続し,PCやタブレットからは本製品を Wifi アクセスポイントとして用いる.
のいずれかに切り替えます.この物理スイッチで切り替え可能なのは良いところです.特に出先で使うときは有難い.
もちろん (1) が通常の家庭用ルーターに相当するのですが,このモードで利用できるのは
- ブリッジとして使う
- DHCP で WAN 側アドレスを割り当てる
- 固定で WAN 側アドレスを割り当てる
のいずれかで,これはまぁ,そうだろうなという感じ.(2) は有線⇔無線のコンバーターとして使えるというもので,これも状況によってはあると嬉しいことは多いと思います.でも,本製品の最も特徴的な接続方式は (3) でしょう.これは,本製品を無線LANと無線LANを分けるファイヤーウォールとして機能させるモードです.
本機能,製品ページを見ると,「公衆無線LANに対応」と紹介されています.これ,もちろん,公衆無線LANのファイアウォールとして本製品を使えるという意味です.製品紹介ページにはこの対応のみが大々的に謳われており,通常のアクセスポイントへの対応は全く記されていないのですが,大丈夫です.きちんと通常のアクセスポイントに対してもファイアーウォールとして機能します(マニュアルにはもちろん記載あり).
なお,この対応,単に無線でつながるだけでなく,メニューを見ると,
の場合は,自動ログイン(Web認証方式)にも標準で対応しています.個別対応というメニューもあるので,Web認証方式であれば,会社なんかのゲートウェイでも対応するのかもしれません.さらに,サービス or ポイントにつなぐのかを優先順位を付け8つまで設定できるようになっています.
本製品,モバイルバッテリーを使えばかなり長時間稼働しますで,自宅 or 職場 Wifi ⇒ 公衆無線LAN ⇒ テザリングの順に設定をしておけば,PCやタブレットの無線LAN設定を汚さずにさまざまなネットワークを利用できるということで,個人的にはかなりありがたい機能です.
その他,他の同様の製品には(少なくともWebで調べる限り)無い特徴として,IPv6 への対応が最低限とは言え謳われています.とは言っても IPv6 パススルー機能だけですが,他製品には現時点だと全く対応している旨の記述さえ見つかりません.
実際に試すと,きちんと IPv6 アドレスが割り当たりますし,また,WAN 側からの通信も実際遮断できています.iOS なんかのアプリだと,IPv6 への対応が必須になりつつありますので,これから先のことを考えると絶対に対応が必要な筈で,何で他の機器は対応を書いてないんだろうと逆に不思議な気がします.
その他にも,冒頭の写真を見ての通り,持ち運び易い様に,平たいイーサネットケーブル,ACアダプタ,本体,そしてそれらを纏める袋がセットになっているのは結構気が利いていること,モバイルバッテリーでも十分な時間稼働することなども良い点でしょう.
残念なところ
本製品,上記のように結構使い出がある.だからこそ,特に次の3つはとても残念に感じます.それは
- バッテリー内蔵でない!
- 5GHz と 2.4GHz の同時使用ができない!
- Gigabit に対応しない!
ことです.モバイルバッテリーがあるので (1) は必須ではなさそうに見えますが,やっぱりバッテリー内蔵だと使い易い.特に鞄に入れ,移動しながらの利用の場合は,ケーブルが抜け易いことから使い辛いんです.
また,5GHz と 2.4 GHz は片方しか使えません.これは,Wifi ⇔ Wifi 間のファイアーウォールとして使うときにももちろんです.公衆無線LANは基本的に 2.4GHz 帯にしか対応しないことが多い.だから本製品,必然的に 2.4GHz 帯で使うことになりますが,皆さんご存知の通り,2.4GHz 帯はすごく混んでます.せめて PC やタブレットなんかは 5GHz でつなぎたくてもこれが実現できません.
また,Gigabit にも対応しません.本製品は 802.11ac に対応する製品で,無線LANはまぁ理論値ですが 433Mbit に対応します.でも,有線LANは Fast Ethernet までの対応です.要するにコンバーターとしては無線のスピードを十分に活かせない訳で,まぁ,これは実用上はともかくとして,なんだか惜しいなぁと感じてしまう訳です.
なお,ホテルルーターで今のところ Gigabit に対応するものは無い様で,やはり消費電力とのトレードオフの関係にあるんでしょうね…
おわりに…
最近はスマホ1台持ち歩けば,ほとんどの場合これで十分で,以下の記事にも書きましたが,モバイルルーターの必要性を全く感じなくなっていました.
しかし,最近の契約は容量の制限が必ずありますし,やはり安定性の問題もありますので,少し長期で出かける場合は出先で使えるネットワークを使いたい.本製品は,まさにその要望に応える為のものです.
実は,ホテルルーターは本製品で2製品目で,この前は,かなり前に購入した PLANEX のちびファイを利用していました.このスマホ全盛の時代に,まさか LTE にも対応しない持ち運び用のルーターを改めて買うことになるとは思いもしませんでした.
購入価格4000円以上でしたので,同種の中では最も高価格帯の製品ですが,その価値は十分にある良い製品だと思います.人と用途によることはもちろんですけどね.