ドコモ光ルーターで IPoE してみた雑感と備忘録です.
新型肺炎の影響でしょうか.3月になってからいままで混雑していなかった時間帯でもかなりネット接続が遅く感じるようになり,かなりストレスでした.あと,なるべく仕事を自宅でするようになったってのもあると思います.
この問題を解消するため,導入を見送っていた IPoE での IPv4 over IPv6接続を試すことにしたのですが,そのために追加したのが「ドコモ光ルーター 01」です.
ドコモ光ルーター01の選択理由
我が家は現在,ドコモ光で OCN な環境です.素直に対応する場合は,OCN 光 v6 アルファというサービスに申し込んで,専用の対応ルーターをレンタル(無償)するのだと思います.
しかし,これ,提供条件を見ると,
- ルーターをレンタルしかしてくれない.
- どのくらいでルーターが届くのかがよくわからない.
- PPPoE での通信が行えない.
とあり,特に3つ目の PPPoE が使えなくなるのは問題だなぁ……という事で,この方式は諦めることにしました.IPv4 over IPv6 方式は IPv4 によるサーバーの公開がほぼ不可能になってしまうからです.
OCN の場合,ググってみると,OCN 光 v6 アルファに申し込まなくても OCN バーチャルコネクトによる IPv4 over IPv6 接続はできることは知っていましたので,ならば,OCN バーチャルコネクトに対応しているルーターを用意すれば良いだろうとなった訳です.
じゃあ OCN バーチャルコネクトに対応しているルーターにはどんなものがるかと言うと,これは,
https://www.ntt.com/content/dam/nttcom/hq/jp/business/services/network/internet-connect/ocn-business/option/v-access-ipoe/pdf/bocn_vc_router.pdf
に最新のリストが示されていました.
残念ながら私の今使っているルーター(Edgerouter X)は対応していません.
いちばん良いのは,ルーターの置き換えで対応できる Yamaha RTX830,NVR510,NEC UNIVERGE 系なんですが,如何せん値段が高すぎます.仕方がないのでその他から選ぶとすると……ドコモ光がバッチリ動作保証をしているドコモ光ルーター01が宜しかろう,となった訳です.
あと,ドコモ光ルーター01 だと,
- 日本で使われている IPv4 over IPv6 通信(transix,IPv6 プラス,OCN バーチャルコネクト)に全対応していて使い潰しが利きそう
- どう見ても NEC の Aterm の OEM
- 中古がかなり出回っていてすぐに手に入る
のも魅力でした.
製品外観
購入したのは中古品です.お値段は書きませんが,かなり安く手に入れることができました. 付属品は本体,AC アダプタ,説明書,LANケーブル1本だけです.本体を見た第1印象は,
小っさ!!!
ってことです.
実は我が家のアクセスポイントは Aterm WG1800HG2 です.パッと見た感じだとデザインは同一なので,同じ大きさのものが来ると思いこんでいたのですが,実際には一回り小さい.
比較してみるとそこまで違いがある訳ではないのですが,単体で見た感じはそれ以上に小さく見えます.WG1800HG2 と本機の最も大きな違いは無線LANが3ストリームに対応してる(無線で理論値1300Mbyte)か2ストリーム(867Mbyte)かなので,要するにアンテナ数の数が一つ少ないだけの違いしかないのですが,それだけでかなり小さくなるんだなぁ……と少し驚きました.
有線LAN は全てギガビットに対応しており,WAN が1つ,LANが3つで,LAN ポートの数がWG1800HG2 より一つ少ないだけ.
NEC の Aterm らしく,背面には「ルーター/コンバーター/ブリッジ」切り替えスイッチありで,背面には WPS ボタンとパスワード等書かれたシールがあります.
上の面は LED と docomo のロゴのみが配置されていますが,WG1800HG2 の方はここに WPS ボタンも配置されていました.どちらかと言えばドコモ光ルーター01の方がスッキリした感じがするので好みです.
機能の概要
設定画面ですが,これはもういかにも Aterm な感じです.10年以上前から変わらないデザインの設定画面です.あまりに変化がないので画面イメージなどは示しませんが,対応している接続方法は,メニューによると,
- 自動判定
- transix
- v6 プラス
- OCN バーチャルコネクト
- IPv6 オプション (BIGLOBE)
- ローカルルーター (DHCP)
- PPPoE ルーター
と,現在使われているまさに全てに対応しています(ファームウェア 1.3.3 の場合).
驚いたことに,v6 プラス,OCN バーチャルコネクト,IPv6 オプション (BIGLOBE) の場合もポート開放は行えるようです.ただし,どんなポートでも開放できるわけではなく,リストアップされたもの(相当数あり)から選択する形となっていました.技術的にはできるってのは知ってましたけど,まさか本当に開放できるとは思っていませんでした.
IPv6 の接続方法は,NDプロキシと IPv6 ブリッジ,使用しないの3通りで,DHCPv6 には対応してなさそうな感じです.ただし,OCN バーチャルコネクトの場合は ND プロキシに強制的に設定されてしまいます.
パケットのフィルタはポートか LAN 側の IP で可能な様ですが,IPv6 の場合は ND プロキシ以外に設定された場合は有効にならないと記されています.
あとは,ジャンボフレームとか LAN 側 Pause 機能とか省電力イーサネットにも対応していますし,セキュリティ・ペアレンタルコントロール機能に対応しているそう.
逆に対応がなくて意外だったのが,まず,静的ルーティングの設定が出来ないことです.一般家庭で使うルーターでは使うことがないって想定なんでしょうね(普通はそうだろうなぁ……).
あと,WEB カメラへの対応や USB ストレージへの対応,Wake on LAN への対応もなしで,これは困るなぁ……と思ったのは,ping や traceroute の機能もありませんでした.
設置について
実際の設置方法ですが,今回は入れ替えではなく増設としました.ネットワークのトポロジーは,以下のページと全く同じです(Edgerouter のロードバランサー設定方法等大変参考になりました).
なお,Edgerouter の場合,ポリシーベースルーティング機能を利用してロードバランサーの設定も行うのですが,ポリシーベースルーティングをするとスタティックルートの設定が効かなくなってしまうことに注意がいります.つまり,スタティックルートが必要な場合はポリシールートのテーブル全てに対応する設定を入れておかないとダメみたいです.
ただし,困ったことに,現在のファームウェア (ver. 2.0.8) だと,この設定を入れても正常にルーティングしてくれないことがあります.distance 値を色々調整したりはしてみたのですが,調整を入れた直後はうまく動くにも係わらず,しばらくするとまた無効になってしまいます.この辺り,私の設定が悪いのかバグなのかは良く分かっていません.
あと,実際の設置場所ですが,NTT の GE-PON と一緒にリビングの棚の中に設置しました.あまり広くないかなり密閉度の高いところなので,熱暴走が心配でしたが,無線LAN の設定を無効化するとかなり発熱が抑えられるようで,いまのところほんのり暖かい程度です.
暖房が入っている部屋でかなり今でも温かいので,まぁこの程度なら夏でも大丈夫かなと思っています.
回線速度と接続方式について
肝心の回線速度ですが,予想通り大幅に改善しました.遅いときでもアップロード/ダウンロード共に 200Mbyte/s 程度は出ています.また,特に嬉しかったのが,よく使うサーバーへの PING 値が大きく改善しました(100 ms が 10 〜 20 ms になった).このおかげでファイルサーバー等へのアクセスがかなりスムーズになりました.
なお,接続方式は OCN なので,予想通り OCN バーチャルコネクトです.設定は自動判定にするだけ.あっけないほどあっという間につながります.
以上!