IPEVO V4K PRO 雑観です.Amazon の商品ページは以下の通り.
いつもの通り結論から言えば,
書画カメラとして販売されてはいますが,書画カメラと考えるよりアーム付き Web カメラとして考えた方が良い
と思います.
IPEVO って?
まずは製品サイトは以下の通りです.
ホームページを見ると分かりますが,教育市場向けを意識した Visual Communication 製品を専門に開発しているっぽく,低価格で比較的高性能な書画カメラ専業メーカーさんのようです.
日本,アメリカ,ヨーロッパ,台湾他いろいろなところに事務所はあるようですが,おそらく台湾が本拠地なんじゃないかなと思います.
製品概要
製品の詳しい仕様は,
にありますが,特徴としては,
- 比較的低価格(約20000円)
- Sony 製のイメージセンサー搭載
- 音声特化処理マイク搭載
- USB 接続(UVC2.0)
- LED ライト対応
の書画カメラです.なお,4KPRO となっているので 4K 対応のように見えますが,残念ながら 4K に近いという意味で使っているようで,最高解像度は 3264 x 2448 dot までとなっています(PC関係で良く聞くのはいわゆる4K UHD(2160P) で 3840 x 2160ですね).また,残念ながらFullHDでも 30fps までの対応です.
購入動機
購入動機ですが,単純に小型の書画カメラが欲しかったからなのと安かったからです.紙資料やちょっとしたものを簡単に Web 会議とかで写したかったからですね.たまたまスタバ斎藤さんの
を見て「へー」と思ったってのもあります.
開封の儀
購入はいつもの通り Amazon からです.
届いたパッケージは以下の通り.極めてシンプルです.
中に入っていたものも緩衝材を除けばほぼ本体だけでした.
そして製品本体は以下の通り.見ての通りかなり小さく,材質は,カメラ部分がプラスチック製で,残りは金属製,パッと見た感じは高級な感じはしないですけど安っぽくも見えない,それなりな感じです.
なお,重さは581gで,大きさにしては少し重いかなという感じ.アームは3軸で,さらにカメラ部分がほぼ360度回転するので,調整はかなりしやすそうな感じです.
使用雑観
まず,全体としては,
20,000円という価格相応の価値は十分にある
と思います.また,最初に書いた通り,本製品,
書画カメラと言うよりアーム付き Web カメラ
と考えた方が良いと思います.と言うのも,書画カメラとしてはそんなに使いやすくはないからです.使いにくいと感じる部分は以下の通り.
まず,本製品,A4用紙1面全体,このままだと映せないです.アームを最大の高さにしてもA4用紙1枚が完全に画面に入りきらない.台座の下に本を何冊か重ねないとダメ.紙資料って普通A4です.人に見せるときはまずやっぱり全体を見せたいのだけど,本製品はこれがやりにくい.
さらにズームに対応した物理ボタンが無いってのも書画カメラとしては使いにくい.
資料の一部を拡大して見せるときはやはりズームです.アームを動かして調整は画面が揺れるのであまり嬉しく無いからです.もちろん専用の Visualizer と言うソフトで拡大・縮小できますし,Web 会議の際はこのソフトの画面を画面共有すれば良いとは言えあまりやり易くはない.
本製品が低価格,かつコンパクトなのは,昔からある書画カメラと違って面倒な光学系(拡大縮小のためのレンズとか)は省略し,これらはソフトウェアで擬似的に対応するからというのは分かるので,仕方ないと言えば仕方ないのですが,ボタンで拡大縮小ができるものしか使ってこなかったので,正直この部分はかなり不便に感じる訳です.
しかし逆に Web カメラとして見るとものすごく使い易いです.
まず何と言ってもアームが3軸かつカメラ部分回転するのでかなり自由自在に色々なところ映せますし,あと LED ライトあるのと,そもそも画質がかなり明るめ(Mac の内臓カメラなんかと比べるとかなり明るい),しかも逆光にもかなり強いのがとても助かる.おまけに4Kに完全対応ではありませんが,半対応くらいはしている訳で,いまだ 4K の Web カメラのお値段2万円半ばなのを考えると台座ついてる分とてもお得感が高いです.
ただし,USB の接続ケーブル,これ直付けで,さらに上にあるカメラ部分から伸びているのでかなり不恰好かつ取り回しが面倒です.
このケーブルについては,台座部分に接続口を設けて好きなケーブルを使えるようにした方がどう考えても良いと思う.もちろんその分作りが複雑になるのでコスト増になるとは思うんですけどね.
最後に本製品の売りの一つであるAI対応マイクですが,これについては全く使ってないのでいまのところは何も言えないです.と言うのも,マイクとスピーカー別の機器にするとハウリング起こし易くなるので,両方ともノートPC付属のものを使うことが多いですし,最近の会議ソフトウェアはそもそもノイズ入らないようになってますしね.
ソフトウェア
本製品,UVC2.0 規格でつながるカメラなので,何も入れなくても各種有名会議ソフト(Zoom とか Meet とか)や OBS などから使えますし,OS もほぼ選ばないです.Windows でも macOS でも Linux でもどれでも大丈夫.
しかしやはり製品を使いこなすにはメーカの用意する専用のソフトがあった方が良い訳ですが,本製品の場合,以下のようなソフト(アプリ)が用意されています.
- IPEVO Visualizer (Windows, macOS, Chrome,
iOS, Android, Linux) - IPEVO CamControl (Windows and Mac)
- IPEVO TWAIN Scanning Driver for Windows
- SDK for Windows, macOS, Raspberry Pi
Visualizer は本製品を総合的に使いこなすためのアプリで,
- 配信・(RTSPサーバー経由の)配信・撮影
- 拡大縮小
- 回転
- 解像度と縦横比変更
- ホワイトバランス・マニュアルフォーカス調整
- LEDライトON/OFF
とかとにかくさまざまなことに対応しています.QRコードの認識なんかもするし,IPEVO 製以外のWebカメラを(細かい調整などには対応しませんが)制御でき,同時に2つのカメラの映像を分割(2分割と PinP 風)して映し出すこともできます.残念ならが iOS と Android は USB 接続の Web Cam には対応していない,つまり V4KPro では使えないようです.
IPEVO CamControl ですが,これは IPEVO 製品のカメラとしての機能をコントロールする,つまり,露出やフォーカス,LEDライトON/OFFを制御するもので,IPEVO 製品専用のソフトウェアです.機能は Visualizer の方が圧倒的に豊富ですが,Web カメラとして直接 Google Meet などの会議ソフトから使いたい場合に組み合わせて使うソフトウェアです.
残りの2つは,まず,IPEVO TWAIN Scannning Driver ですが,これは名前の通り TWAIN スキャナとして本製品を使うためのドライバーで,最後の SDK は本製品を他のソフトに組み込む際に使える最低限のライブラリ,と言うことで,かなり色々なものがオープンになっているのはとても良い.
ただし,開発環境,残念ながら完全にオープンソースではなく,バイナリとしての提供なので,多分そのままだと Intel な Linux なんかだと使えないんじゃ無いかなと思います.Raspberry pi3 でのデモと readme.txt あるので,arm 系なら大丈夫そうですが……).
まぁ,ほとんどの方は Visualizer と CamControl だけ入れれば十分だと思います.なお,なぜか Visualizer の macOS のアイコン,普通のアイコンより大きくてかなり違和感があるので,これ,OS の標準のものと見た目の大きさ揃えて欲しいところです.