STARLINK を小さなポータブル電源で使ってみた雑感です.
いつもの通り結論から書くと,
256Wh の小さな電源でも3時間半くらいは持ちますので,十分使い物になる!
と思います.
STARLINK とは
まず STARLNK についてですが,すでにサービス提供後数ヶ月経っていますし,いろいろなところでレビュー上がっていますので,詳しくはそちらを見ていただければと思いますが,低軌道衛星を用いたインターネット接続サービスです.
衛星を使うのでもちろん通信はいわゆるパラボラアンテナを使うのですが,いままでの衛星通信と違って,「低遅延」「低価格」で提供されています.
衛星なので,空が見える場所であればどこでも使える!
のが良いところ.
この STARLINK ですが,職場で BCP 対策兼テスト用で1台テスト中なのですが,合わせて小さめのポータブル電源でどの程度使えるのかも試してもらいました.
STARLINK アンテナとルーター
テストしたアンテナは,現在36500円で提供されている長方形の新型です.
ルーターは以下のような感じで,いちおう防水対応のようです.アンテナへの電源供給はルーター経由で行います.
注意点は
「無線LANだけに対応」で,有線接続には対応していない
ことです.Ethernet に対応していないってだけじゃなくて,USB 接続にも対応していません.そもそも USB のポート自体がない.別売りのイーサネットアダプターを買えば使えますが,1万円程度しますし,最高200Mbps程度しか速度は出ないのでこれで問題ないと思います.
ポータブル電源
試したポータブル電源は EcoFlow の RIVER2 です.
リン酸鉄リチウムイオンバッテリーで,容量256Whですから,ポータブル電源としてはほぼ最小クラスです.選定理由は,
- テスト用なので安いもので良かった
- 安全性を考慮してリン酸鉄
- 一応災害用なので長期で使える
- 保管しやすい(重ねて置いとける)
です.あと小さいのに AC 出力が瞬間的ではありますが 450W まで対応していたので,電源供給不足で起動しないなんてことがないだろうってこともありました.
利用可能時間の詳細
さて,利用可能時間の詳細ですが,実測で以下の通りでした.もちろんバッテリー残量は100%です.外気温約15度,屋外での測定です.
- アンテナ融雪機能入:約2時間(標準はこちら)
- アンテナ融雪機能切:約4時間
STARLINK のアンテナには標準で融雪に対応していて,アプリから切らないとアンテナが暖かくなります.もちろん電気で暖めているので,電池もちに大きな影響がありますが,予想したほど大きな影響はなく,融雪機能入と切で倍くらいの違い,という結果になりました.
STARLNK + RIVER2 雑感
と言うことで,STARLINK を小型ポータブル電源である RIVER2 で使ってみましたが,結論としては,
十分つかいものになる!
と感じました.利用できる時間を伸ばしたければもう1台同じポータブル電源を用意すれば良いと思う.
実際使ってみて感じたのですが,まず,STARLINK はアンテナ等それなりの大きさなので,持ち運びは結構大変です.外に持ち出すなら車じゃないと辛いし(公共の交通機関などを考えている場合は専用のバッグじゃないと無理だと思う.4万円くらいいしますけど),例えば山なんかに行ってこれ持ってアチコチ移動なんて非現実的です.
これに加えてバッテリーまで重いってのは,実際に使うところまで移動させるときかなりの苦行になりかねません.と言うことで,なるべく小さな電源が使えるのならそちらの方が良い訳ですが,今回はそれを確かめることができたということですね.
あと STARLINK,使い始めるのにけっこう時間がかかります.慣れても設置して,電源入れて,衛星を捕まえて……とすると最低20分はかかる.また,空は広く開けてないとなかなか通信が始まらない.ビルとビルの谷間とかではダメ,片側がビルで開けていない場合も時間がかかります.電波さえ大丈夫ならスマホのテザリングをした方が楽だし実用的です.つまり STARLINK って,(災害時以外は)実際便利なのは,スマホの電波の届きにくい海辺とか,山の中とかだけだと思った方が良いです.
しかし,やっぱりコレ,革命的だと思います.
衛星通信っていままで高かった.私が若かりし20年前の話になりますが,その当時,衛星の受信設備を導入するには2億円くらいはかかりましたし,衛星経由の会議を1時間したら(かなり割引をしてもらっても)30万円くらいはかかりました.しかし STARLINK なら,導入費用が36500円で,月額が6600円です.移動しながら使える RV プランだと月額10000円ですが,使わない月は休止できるのでものすごく実用的です.
と言うか,この低軌道衛星を用いた回線と長期利用可能なバッテリーって,これからは,災害対策のためにある程度の規模以上の組織なら当然備えて然るべき必需品になる気がしますねぇ…….
以上!