Brother MFC-9340CDW 雑感とプリンタ考(2)の続き.
- Brother MFC-9340CDW 雑感とプリンタ考 (1) 購入の動機
- Brother MFC-9340CDW 雑感とプリンタ考 (2) 設置
- Brother MFC-9340CDW 雑感とプリンタ考 (3) 印刷機能
- Brother MFC-9340CDW 雑感とプリンタ考 (4) スキャナ機能
- Brother MFC-9340CDW 雑感とプリンタ考 (5) FAX機能
- Brother MFC-9340CDW 雑感とプリンタ考 (6) まとめ
非常に多機能な複合機である本機の特に印刷機能について紹介します.まぁ,全体としては,
普通紙に文字中心の印刷は,やはりレーザープリンタだ!
と思いましたが,これ以外にも本機には色々驚くところがありました.
印刷速度
印刷速度は22枚/分(片面印刷),7枚/分(両面印刷)と個人で使う分には十分速く,カラーでもモノクロでも速度に違いはありません.仕様には載っていませんが,ディープスリープからのファーストプリントは,PDFの印刷で実測して,片面で実測35秒前後,両面で実測45秒です.なお,仕様には,ファーストプリント16秒となっていますが,これは待機状態からの印刷の場合です.
両面印刷はインクジェット機とは違い,片面印刷が終了したらすぐに用紙が引き込まれ,裏面印刷が行われます.これはやはりレーザープリンタの良いところだと思います.なお,プリンタドライバからだけでなく,本体の設定項目で両面印刷を標準にできます(短辺・長辺綴じの選択も可能).
印刷コスト
カタログ上,モノクロ3.7円,カラー17.3円ということで,レーザープリンタとしてはかなり高めです.
動作音
スリープ時は全くの無音です.しかし,待機時はかなり高速にFANが回っているようで,決して静かではありません.印刷時はガチャガチャとさらに紙送りの音がします.
なお,スリープに入る時間は自分で設定できます.標準だと3分ですが,自宅等で使う場合は煩いので,もっと短くするのも有りかと思います.
印字品質
十分です.インクジェット機の場合,文字等は少し太めに,柔らかい感じに印刷されますが,本機はトナー焼き付けですので,細い,エッジの効いた印刷結果となります.仕様では通常 600dpi,綺麗だと 2400dpi 相当となっていますが,普通紙に印刷して試したところ,パッと見て分かるほどの違いは無い様に思います.確かにグラデーション等が綺麗かなとは思いますが,その程度です.まぁ,見る人が見れば違うのかも知れませんが,私には見分けが付きませんでした.
なお,トナー節約モードの印刷も行えます.これで印刷すると若干薄く印刷されますが,感じとしては,ちょっと前のインクジェット機だとこんな感じで普通紙に印刷されるなぁ,位です.確認のための印刷だとこれで十分だと感じます.プリンタドライバで節約モードにすることも可能ですが,本体を節約モードに設定することもできますので,通常はこのモードに常に設定しておいても良いのではないかと思います.
用紙
内蔵トレイと手差しがあり,これ以上,拡張は出来ません.内蔵トレイには,A4以下の普通紙,普通紙(厚め),厚紙,ハガキ,超厚紙,再生紙を入れることができるようで,入れる用紙の種類ごとに本体設定を変更する必要があります.既に記しましたが,内蔵トレイには普通紙ならば約250枚を一度に給紙出来ます.
インターフェース
驚くべきはここからです.古い規格とBluetooth を除き,現在考え得る限りの全てに対応しているのではないかと思います.まず,対応している接続用のインターフェースですが,
- USB2.0
- 有線LAN(10BASE/100BASE-TX)
- 無線LAN(822.12b/g/n)
- NFC
に対応しています.
USBは単にPCと繋げるだけではなく,最近のインクジェット複合機と同様に USB からダイレクトに PDF ファイル等を印刷できます.無線LAN は AOSS, WPS に対応しているだけでなく,企業向けの 802.1x 認証にも対応しています.LEAP, EAP-FAST, PEAP, EAP-TTLS, EAP-TLS の各認証に対応していますし,もちろん証明書を用いた認証にも対応しているようです.
個人的には,簡易的ではありますが証明局を内蔵しているプリンタと言うのを初めて見ました.一方,NFC+Wifi Direct に対応ということは,Android 等からの直接印刷にも対応している訳で,個人(SOHO)向けと企業向けのどちらもOKな作りとなっています.
プロトコル
対応プロトコルもとても4万円のプリンタとは思えません.直接印刷に関係の無いものも多いですが,全部並べてみると,
- Web Based Management
プリンタが Web Server となり,ここからプリンタの設定を変更できるだけでなく,IPPにも対応している.もちろん https に対応しており,証明書も入れ替え可能. - Telnet
実際に Telnet で繋いで本体の設定等をCLIで変えられる.接続パスワードはマニュアルを隅から隅まで見ればきちんと書いてある. - SNMP
SNMPv3対応.もちろんSSL通信にも対応. - リモートセットアップ
Windows 等からの専用アプリケーションを使った設定変更用のプロトコル - LPD (PC-FAX送信)
- RAWポート
- IPP (Internet Printing Protocol)
- AirPrint (iOS からの直接印刷に対応)
- Google クラウドプリント
- プロキシ
- ネットワークスキャン
- PC-FAX受信
- POP3/SMTP
SMTP-AUTH, POP before SMTP, SMTP over SSL/TLS, APOP, POP3 over SSL/TLS に対応.エラーやメインテナンス情報を通知するために使える. - FTP
直接FTPでファイルを送ると印刷される.対応形式はよくわかりません. - TFTP
Firmware のアップデート等に使うらしい. - CIFS
- mDNS
- LLMNR
- SNTP
時間合わせ
となっており,古くからのものから,AirPrint 等の新しいものまでさまざまなものに対応しています.また,IPv4 と IPv6 の両方ともに対応しているようです.「へー」と思って次にサービスという欄を見てみると…
サービス
サービスと言うのは要するに対応しているプリンタ制御言語の様で,対応しているものを順に並べてみると
- BRNxxxxxxxxxx
Netware/NetBios 向けのものらしい - BINARY_P1
UNIX(Linux) システム向け(バイナリ形式用) - TEXT_P1
UNIX(Linux) システム向け(テキスト形式用) - Postscript_P1
見ての通り Postscript 向け - PCL_P1
見ての通り PCL 向け - BRNxxxxxxxxxx_AT
Mac 向けのものらしい
となっています.驚いたことにこのプリンタは HP の PCL6 と Postscript3 (BR-Scriptとマニュアルではなっている)のエミュレーションに対応しているようで,たかだか4万円のプリンタで互換とは言え level3 の Postscript に対応しているものなんて初めて見ました.
なお,これは製品ページを見ても書かれておらず,ユーザーガイドに記述があります.この機種の上位製品となる MFC-L8650CDW には仕様表に記述がありますが,本機には無い.売りとなるはずなのに何故無いんだろうと不思議に感じるところです.
まとめ
と言うことで,本機,ある意味コストパフォーマンスが良すぎます.最近のインクジェット複合機と同様にスマホやタブレットからも印刷可能ですし,Windows, MacOS, Linux のいずれからも出力できます.Postscript に対応しているプリンタは高かったものなのですが….何というか良い時代になりました.
さて,印刷関係はこの辺りにしておいて,次回はスキャナ機能を取り上げたいと思います.