スマカメアプリを WINE で Ubuntu(elementary OS) から使えるようにした備忘録

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スマカメアプリを WINE で Ubuntu(elementary os) から使えるようにした備忘録です.

実家の一人暮らしの母の見守りように PLANEX さんのスマカメを使っています.

PLANEX スマカメ CS-QR20 雑感 (1) 利用雑感
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スマカメ,Win/Mac/iOS/Android 用のアプリ提供(確か FireOS 用のもあったハズ)かなりマルチプラットフォームなのですが,さすがに Linux 向けはありません.

ネットワークカメラ スマカメ|PLANEX
ネットワークでつながるシンプルなライフスタイルを提案します。

でも,最近 elementary OS 気に入ってて,ここから使えると便利だよなぁ……ということで,アレコレ試して使えるようにしてみました.

WineHQ ってなに?

公式の説明によると「エミュレーターじゃなくて,Windows のアプリを動かすための互換レイヤー」だそうです.Windows で Unix 系の資産を使える Cygwin の逆なんだと理解しています.

WineHQ - Run Windows applications on Linux, BSD, Solaris and macOS
Open Source Software for running Windows applications on other operating systems.

いまだと VMWare とか qemu なんかを使って Windows を仮想マシン化すれば良いでしょって言われそうですが,余計なリソース食いますし,何と言っても Windows マシンを1台余計に管理しないといけなくなります.Wine だとこの欠点が無い代わりに,互換レイヤーは完全じゃないので,動かないアプリもあるし,動いても色々不具合が残ってる可能性は高いってのが欠点な訳ですね.

WineHQ を Ubuntu 18.04 (elementary OS 5.1 Hera) に入れる

普通に apt から入れても良いんですが,この場合入るのは ver. 3系列の Wine です.今回はなるべく新しい方が良いだろうと言うことで,WineHQ が提供している公式の PPA から入れることにしました.

WineHQ の公式の解説は以下の通り.

Ubuntu WineHQ Repository - WineHQ Wiki

今回はこの解説通りに導入します.まず,32bit の必要なライブラリを導入できるようにします.これは 32bit のアプリを 64bit 環境で動かす WOW64 がいまのところ Wine では動かない(動かしにくい?)かららしい.設定は以下の通りです.

$ sudo dpkg --add-architecture i386

なお,将来的に必要なくなったときに,この設定を削除する方法については以下の頁を参照して下さい.

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次は PPA リポジトリを追加します.手順は以下の通り.

$ wget -nc https://dl.winehq.org/wine-builds/winehq.key
$ sudo apt-key add winehq.key
$ sudo apt-add-repository 'deb https://dl.winehq.org/wine-builds/ubuntu/ bionic main'
$ sudo apt update

これで最新版のバイナリを apt から導入することが出来るのですが,なぜか開発版は依存関係のエラーで入りません.仕方ないので安定版を以下の通り導入しました.

$ sudo apt install --install-recommends winehq-stable

依存関係で大量にパッケージが追加されます.約700MBくらいでしょうか.導入バージョンの確認は以下の通り.

$ wine --version
wine-4.0.3

無事,安定版の最新 4.0.3 が入りました.

スマカメアプリを入れる準備

スマカメアプリ,残念ながら mono for Wine だと動かないので,.NET Framework 3.5 sp1 を導入しなければなりません.しかし,.NET Framework 3.5 sp1 は 32bit 環境じゃないと動かないらしい.仕方がないので,Wine を 32bit 環境でセットアップします.手順は以下の通りです.

$ WINEARCH=win32 wineboot

なお,もし amd64 で Wine の環境を作ってしまっている場合は,

$ rm -rf ~/.wine

として作り直せば良いのですが,これまでの Wine 環境は(当然ですが)全部消えますのでご注意下さい.

ここで試しに Wine の色々な設定を行うプログラム winecfg を起動してみます.

$ winecfg

すると起動時に,

  • wine-mono
  • Gecko

パッケージの導入を促されます.それぞれ .NET Framework と HTML の処理に必要らしいので,指示に従って素直にインストールします(後で mono は .NET Framework を入れるときに自動で削除されるので入れなくても良い).

次に,winetricks を導入します.これは,Wine に日本語のフォントと .Net Framework を導入するためです.

$ sudo apt install -y winetricks

日本語のフォントと .Net Framework 3.5 sp1 の導入は以下の通りです.

$ winetricks cjkfonts
$ winetricks dotnet35sp1

なお,.Net Framework 3.5 sp1 の導入にはかなりの時間がかかります.また「OK」とか「完了」とかのプロンプトを何度も押さないといけません.

スマカメの導入

スマカメの Windows クライアントソフトは以下からダウンロード出来ます.

ダウンロード|Windows版『スマカメ』アプリ|プラネックス

ダウンロードしたファイルは以下の手順で Wine にインストールします.

$ unzip smacame_win_v1018.zip
$ cd smacame_win_v1018
$ wine msiexec /i SmaCame.msi

注意として,smacame_win_v1018.zip を展開すると setup.exe ファイルが出てきますが,これを wine で起動してもきちんとインストーラーが動いてくれません.上のように msi ファイルを直接起動しないとダメみたいです.

これでアプリケーションメニューに「スマカメ」が登録されますので,あとはこれをクリックすれば普通にスマカメアプリが起動しますし,きちんと監視カメラの映像も表示されます.ただし,Wine のアプリの表示は elementary OS の PinP 機能とは相性が悪いようです.

なお,~/.wine 以下の容量は以下の通り.

$ du -sh .wine
1.1G	.wine

う〜ん.wine 自体が 700M 位ありますから合計 2GByte くらい食ってます.Windows の仮想マシンをまるごと導入するのに比べればかなりマシなのは確かなんですけどね.

削除の方法

一応要らなくなったときのための削除方法も記しておきます.単にスマカメアプリだけ消したい(Wine 環境は残したい)場合は,winetrick を使ってスマカメアプリをアンインストールすれば良いだけです.

ただし,これだけだと色々なところに残骸が残ってしまうことがありますが,この場合は,

  • ~/.config/menus/applications-merged/
  • ~/.local/share/applications

辺りを見れば良さそうです.

また,Wine 環境ごと消してしまいたければ,上記フォルダの内容の他に,

  • ~/.wine
  • ~/.cache/wine
  • ~/.cache/winetricks

を消し,wine と winetricks を apt remove してやれば良さそうです.

 

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